社会福祉主事任用資格とは
社会福祉主事任用資格とは、本来福祉事務所の現業員(ケースワーカー)として任用される時に要求される資格です。しかし、現在では、社会福祉施設の生活相談員や指導員といった職種で採用を行うにあたっての資格要件として準用されています。
任用資格ってなに?
任用資格とは、その職に就くために、国が定めた基準の事をいいます。資格取得の要件を満たしていればその職の任用資格に該当し、有資格者として認められます。一般的には卒業証明書や成績証明書で確認されますので、特別な試験を受けたり資格証明書が発行されたりするものではありません。
社会福祉主事任用資格を取るためには?
一般大学・短大等で、厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目のうち、3科目以上履修し卒業する(俗に「3科目主事」と呼ばれています・次項目参照)
厚生労働大臣の指定する養成機関又は講習会を修了する
文系の大学・短大卒業者であれば、1の「3科目主事」に該当している場合がありますので、履修証明等で確認すると良いでしょう。
2については、養成機関の多くが福祉系の大学、短大、専門学校(社会福祉士や介護福祉士、保育士の養成施設)で、通学又は通信課程で学校を卒業すれば取得できます。
養成機関のうち2か所(全社協・中央福祉学院と日本社会事業学校)が社会福祉主事取得専門の通信課程として実施していますが、いずれの学校も現任者(今現在、福祉分野で勤務されている方)対象となりますので一般の方は受けられません。
また、上記にある「講習会」については愛媛県では実施されていません。
厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目について
平成12年4月1日から適用された指定科目(34科目)
社会福祉概論・社会福祉事業史・社会福祉援助技術論・社会福祉調査論・社会福祉施設経営論・社会福祉行政論・社会保障論・公的扶助論・児童福祉論・家庭福祉論・保育理論・身体障害者福祉論・知的障害者福祉論・精神障害者保健福祉論・老人福祉論・医療社会事業論・地域福祉論・法学・民法・行政法・経済学・社会政策・経済政策・心理学・社会学・教育学・倫理学・公衆衛生学・医学一般・リハビリテーション論・看護学・介護概論・栄養学・家政学
※平成12年に大学に在学していた方は新・旧どちらの指定科目でも可
平成12年3月31日までに履修された方に適用される指定科目(32科目)
社会福祉概論・社会福祉事業史・社会福祉事業方法論・社会福祉調査統計・社会福祉施設経営論・社会福祉行政・公的扶助論・児童福祉論・保育理論・身体障害者福祉論・知的障害者福祉論・老人福祉論・医療社会事業論・地域福祉論・共同組合論・法律学・経済学・心理学・社会学・社会政策・経済政策・社会保障論・教育学・刑事政策・犯罪学・倫理学・生理衛生学・公衆衛生学・精神衛生学・医学知識・看護学・栄養学
厚生労働大臣の指定する
社会福祉に関する科目の読み替えの範囲等について
社会福祉概論 | 社会福祉原論、社会福祉原理論、社会福祉論、社会福祉、社会福祉概説、社会福祉学概論、社会福祉学、社会事業概論、社会福祉、社会保障制度と生活者の健康 |
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社会福祉事業史 |
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社会福祉援助技術論 | 社会福祉援助技術、社会的福祉援助技術論,社会福祉方法論、社会福祉方法原論、社会福祉方法原理、社会福祉方法総論、社会事業方法論、ソーシャルワーク原論、ソーシャルワーク論、ソーシャルワーク |
社会福祉調査論 | 社会調査統計、社会福祉調査法、社会福祉統計、社会福祉調査技術、ソーシャルリサーチ論、福祉ニーズ調査論 |
社会福祉施設経営論 | 社会福祉施設経営、社会福祉施設運営論、社会福祉施設運営、ソーシャルアドミニストレーション、社会福祉管理論、社会福祉管理経営 |
社会福祉行政論 | 社会福祉行政、社会福祉行財政、福祉行財政論、社会福祉法制、社会福祉法概論、社会福祉計画論、社会福祉計画、ソーシャルプランニング |
社会保障論 | 社会保障、社会保障概論、社会保障制度と生活者の健康 |
公的扶助論 | 公的扶助、生活保護、生活保護論、生活保護制度論 |
児童福祉論 | 児童福祉、児童福祉概論、児童福祉学 |
家庭福祉論 | 家庭福祉、母子福祉論、母子寡婦福祉論、婦人保護論、ファミリーサポート、家族援助法 |
保育理論 | 保育原理、保育論 |
身体障害者福祉論 |
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知的障害者福祉論 |
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精神障害者 保健福祉論 |
精神障害者保健福祉、精神保健福祉論、精神衛生学、精神衛生、精神保健、精神医学 |
老人福祉論 | 老人福祉、老人福祉概論、高齢者福祉論、高齢者保健福祉論 |
医療社会事業論 | 医療社会事業、医療福祉論、医療ソーシャルワーク |
地域福祉論 | 地域福祉、協同組合論、コミュニティワーク、コミュニティオーガニゼーション、地域福祉学 |
法学 | 法律学、法学概論、基礎法学 |
民法 | 民法総論 |
行政法 | 行政法総論、行政法概論 |
経済学 | 経済学概論、経済原論、基礎経済学 |
社会政策 | 社会政策論、社会政策概論、労働経済、労働経済学 |
経済政策 | 経済政策論、経済政策概論 |
心理学 | 心理学概論、心理学概説、心理学総論 |
社会学 | 社会学概論、社会学総論 |
教育学 | 教育学概論、教育原理 |
倫理学 | 倫理学概論、倫理原理 |
公衆衛生学 | 公衆衛生、公衆衛生論、公衆衛生概論 |
医学一般 |
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リハビリテーション論 | リハビリテーション、リハビリテーション医学、リハビリテーション概論 |
看護学 | 看護学概論、看護原理、看護概論、基礎看護学 |
介護概論 | 介護福祉論、介護総論、介護知識 |
栄養学 | 栄養学概論、栄養学総論、栄養指導、栄養・調理 |
家政学 | 家政学概論、家政学総論 |
福祉の仕事に転職するために
社会福祉主事任用資格を取得したいのですが?
4年制大卒者で、3科目主事に該当しない方は、新たに大学・短大等に入学することになりますので、主事資格を目指すよりもむしろ社会福祉士国家資格取得を目指して社会福祉士一般養成施設の通信課程等へ入学されることの方が合理的と言えます。
また別の取得方法として、介護職等の資格や経験を問わない求人に応募して採用されれば、現任者として主事の通信教育を受講できるという方法もあります。
しかしながら、社会福祉士や介護福祉士といった国家資格が定着した今、社会福祉主事任用資格は、転職希望者が時間と費用をかけて新たに取得する資格としては物足りないものになっていると言えるのではないでしょうか。